月次報告

小売業月次売上高レポートvol.8

11月の小売業合計既存店売上高は1.1%減

Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業202社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。CPI(消費者物価指数)よりも早い、リアルタイムでの小売業界における客数・客単価のトレンドや、サブセクター(業種)別の売上トレンドなどをご紹介します。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。

22サブセクターのうち、プラスは9サブセクター:

11月の小売業合計既存店売上高前年同月比1.1%減、うち、純小売りは1.3%減、外食は0.6%減となりました。11月は、北・東日本の寒気の南下が弱く、引き続き温暖な気候に見舞われました。全国的にも平年に比べ降水量が少なく、暖かい日が続き、季節商材の動きづらい気候が続きました。一方、下旬には、北日本海側に寒気が南下してきたため、一部地域で積雪が観測されました。曜日回りは、前年同月に比べ土曜日が1日減でした。また、11月29日(金)のブラックフライデーに向けて各社イベントを催すなど、日本でもブラックフライデーのセールが定着しつつあるようです。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%) 出所:各社データよりHidden Gems 注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。

サブセクター別伸び率:

上位3サブセクターは、メガネ専門店(7.1%増)に続き、身回り専門店(1.6%増)、その他(1.6%増)、家電量販店(1.6%増)の3サブセクターが並び、メガネ専門店が他サブセクターを大幅に上回りました。下位3サブセクターは、本・CD・DVD販売/レンタル専門店(5.7%減)、アパレル専門店(4.4%減)、ホームセンター(3.5%減)でした。
「その他」サブセクターでは、ワークマン(7564)が20.1%増と客数が牽引役となり大幅に伸長しました。「高機能×低価格のサプライズをすべての人へ」をコンセプトに9月に出店した、アウトドア、スポーツ、レインウェア専門店の「ワークマンプラス」が話題となり、既存店舗の客数が大幅に上昇し、アウトドア向けブランドのPB商品等が好調に推移しました。
一方で、アパレル専門店は、温暖な気候が続き、実需寄りの季節衣料が動かず、厳しい展開となりました。「ヒートテック」や「ウルトラライトダウン」等の冬の定番商品を取り扱うファーストリテイリング(9983)は4.3%減と、2ヶ月連続でマイナスとなりました。
ホームセンターは、温暖な気候により、園芸用品は好調だったものの、コメリ(8218)(4.1%減)や綿半ホールディングス(3199)(5.2%減)では暖房、防寒などの冬物商材が不調でした。

「3-12」トップスリー:

Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。

3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):

大塚家具(8186)、ワークマン(7564)、ハニーズ(2792)

3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):

大塚家具(8186)、ゴルフ・ドゥ(3032)、ワークマン(7564)

既存店客数および客単価の推移:

11月単月の客数及び客単価は、それぞれ1.0%減、1.0%増でした。客単価は、2016年10月以降プラスの推移が続いており、2018年10月に25ヶ月振りにマイナスに転じたものの、再びプラスが続いています。11月度データ集計企業数は、202社(純小売り142社、外食60社)。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%) 出所:各社データよりHidden Gems
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