小売業月次売上高レポートvol.9
12月の小売業合計既存店売上高は0.1%減
Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業200社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。CPI(消費者物価指数)よりも早い、リアルタイムでの小売業界における客数・客単価のトレンドや、サブセクター(業種)別の売上トレンドなどをご紹介します。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。
22サブセクターのうち、プラスは10サブセクター:
12月の小売業合計既存店売上高前年同月比0.1%減、うち、純小売りは0.1%増、外食は0.5%減となりました。12月は、寒気の南下が弱く、東・西日本を中心に例年より暖かい日が続きました。一方で、後半は低気圧や前線の影響から東・西太平洋側で大雨に見舞われ、さらに冬型の気圧配置が強まって強い寒気が流れ込んだ影響から、北東日本海側を中心に暴風雪や大雪となるところがありました。曜日回りは、前年同月に比べ祝日が1日多い曜日回りとなりました。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%)
出所:各社データよりHidden Gems 注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
サブセクター別伸び率:
上位3サブセクターは、家電量販店(19.4%増)、通販(4.4%増)、その他(4.1%増)。下位3サブセクターは、家具・ライフスタイル型専門店(5.0%減)、居酒屋(2.3%減)、ホームセンター(1.8%減)でした。
家電量販店では、キャッシュレス決済アプリ「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」の影響により、クリスマスプレゼント需要の高いゲーム機類を中心に、ビッグカメラ(3048)では23.4%増、コジマ(7513)は15.3%増など、大きく売上を伸ばしました。
その他では、ワークマン(7564)が32.7%増と、11月(20.1%増)に続き、大きく伸長しました。主力ブランドの防寒具やレインウェア、長靴が好調に推移し、客数が牽引役となりました。また、オートバックスセブン(9832)では、12月下旬の積雪や一部地域でのチェーン装着義務化の影響からスタッドレスタイヤやチェーンへの需要が高まり、9.7%増と好調に推移しました。
一方、家具・ライフスタイル型専門店では、9月末から11月末まで開催していた在庫一斉セールにより一時的に売上が伸長していた大塚家具(8186)が、セールの終了に伴い15.1%減と大きく売上を落とし、サブセクター全体を押し下げました。
居酒屋では、12月は年間で最大の商戦であるものの、金曜日が1日少なく、祝日が1日多いなど恵まれない曜日回りの中、忘年会シーズンの宴会需要を取り切れず、苦戦を強いられる企業が多く見られました。
「3-12」トップスリー:
Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。
3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):
大塚家具(8186)、幸楽苑(7554)、ベルーナ(9997)
3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):
ベルーナ(9997)、ビッグカメラ(3048)、フジコーポレーション(7605)
既存店客数および客単価の推移:
12月単月の客数及び客単価は、それぞれ0.6%減、0.6%増でした。客単価は、2016年10月以降プラスの推移が続いており、2018年10月に25ヶ月振りにマイナスに転じたものの、再びプラスが続いています。12月度データ集計企業数は、200社(純小売り140社、外食60社)でした。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%)
出所:各社データよりHidden Gems