小売業月次売上高レポートvol.10
1月の小売業合計既存店売上高は0.8%減
Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業200社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。CPI(消費者物価指数)よりも早い、リアルタイムでの小売業界における客数・客単価のトレンドや、サブセクター(業種)別の売上トレンドなどをご紹介します。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。
22サブセクターのうち、プラスは8サブセクター:
1月の小売業合計既存店売上高前年同月比0.8%減、うち、純小売りは1.0%減、外食は0.4%減となりました。
1月は、東日本側では平野部を中心に降雪量が少なく、高気圧の影響で降雨量も昨年に比べて少なくなりましたが、東日本以西にかけて暖かい空気に覆われ、関東は引続き温暖な気候となり冬物衣類がセールでも伸び悩みました。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%)
出所:各社データよりHidden Gems 注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
サブセクター別伸び率:
上位3サブセクターは、メガネ専門店(4.5%増)、通販(3.1%増)、ドラッグストア(1.4%増)。下位サブセクターは、百貨店と家具・ライフスタイル型専門店が共に2.8%減、ホームセンターとGMSがそれぞれ2.7%減でした。
メガネ専門店では、ジンズ(3046)、三城ホールディングス(7455)、愛眼(9854)の3社はマイナスとなりましたが、ビジョナリーホールディングス(9263)がアイケアに特化したサービスを展開する次世代型店舗を拡大したことで客単価が好調に推移し、20.0%増と大きく伸長し全体を牽引しました。
一方、百貨店では、三越伊勢丹ホールディングス(3099)3.4%減、Jフロントリテイリング(3068)2.1%減等、各社売上を落としました。1月に施行された中国電子商取引法(新EC法)において、海外で購入した商品を転売する者が同法の規制対象となったことで、転売目的の商品購入が落ち込み、首都圏を中心にインバウンド売上が大幅に減少しました。また、百貨店業界150社が協力し、1月のプレミアムフライデー(1月25日)に合わせて「プレミアムウィンターバザール」を実施し一部では売上増に寄与したものの、大手百貨店では婦人服や防寒衣類などの消化が思ったように進まず、不振に終わりました。
家具・ライフスタイル型専門店では、10ヶ月ぶりにHAPiNS(7577)が2.2%増とプラスに転じましたが、大塚家具(8186)が24.8%減と大きく売上を落とし、引き続きサブセクター全体を押し下げました。
「3-12」トップスリー:
Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。
3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):
ワークマン(7564)、幸楽苑(7554)、あさひ(3333)
3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):
HAPiNS(7577)、アイケイ(2722)、マックハウス(7603)
既存店客数および客単価の推移:
1月単月の客数及び客単価は、それぞれ0.9%減、0.1%増でした。客単価は、2016年10月以降プラスの推移が続いており、2018年10月に25ヶ月振りにマイナスに転じたものの、再びプラスが続いています。1月度データ集計企業数は、200社(純小売り140社、外食60社)でした。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%)
出所:各社データよりHidden Gems