小売業月次売上高レポートvol.11
2月の小売業合計既存店売上高は0.1%増
Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業199社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。CPI(消費者物価指数)よりも早い、リアルタイムでの小売業界における客数・客単価のトレンドや、サブセクター(業種)別の売上トレンドなどをご紹介します。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。
22サブセクターのうち、プラスは15サブセクター:
2月の小売業合計既存店売上高前年同月比0.1%増、うち、純小売りは0.2%増、外食は0.1%減となりました。
2月は、全国的に気温が高く、北・東日本では暖かい空気に覆われ、降雨・積雪共に昨年よりも少なくなりました。
観光客数の伸びについて、中国の春節(2月4日〜10日)に合わせた中国人観光客による混雑を避けるため、他国からの訪日が1月末に移動したことから微増となりましたが、2月としては、過去最高を記録しました。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%)
出所:各社データよりHidden Gems 注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
サブセクター別伸び率:
上位3サブセクターは、通販(7.7%増)、メガネ専門店(6.1%増)、リサイクルショップ(3.4%増)。下位サブセクターは、スーパー、中食、ホームセンターで、それぞれ2.7%減でした。
メガネ専門店では、ビジョナリーホールディングス(9263)が11.5%増と、12ヶ月連続の2ケタ成長により全体を牽引しました。ジンズ(3046)は人気商品の欠品解消と花粉シーズンの到来が昨年より早まったことで花粉対策用メガネが好調に推移したことから、6.9%増と大きく伸長しました。
リサイクルショップでは、高級ブランドの買取・販売業のコメ兵(2780)が23.5%増と大きく伸長し、全体を牽引しました。ガイアの夜明けの放送後に行ったセールにより売上が伸長したことに加え、オークションなどの法人向け事業が好調に推移しました。法人向け事業の好調は、2018年10月の古物営業法改正で買取場所の規制が緩和されたことに伴い買取数が増加し、在庫が潤沢になったことが主な要因です。
一方、スーパーでは、マックスバリュ西日本(8287)が6.9%減、マックスバリュ東北(2655)が6.7%減と大きく落ち込み、神戸物産(3038)、ベルク(9974)を除く各社が既存店を割り込む結果となりました。
青果は相場安となりましたが、暖冬の影響から鍋用商材などの温かいメニューが不調となり売上減となりました。さらに、農林水産省からの恵方巻廃棄ロス抑制の要請により、一部企業では生産量の抑制や早期値下げが実施されたことも不振の要因となりました。
「3-12」トップスリー:
Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。
3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):
幸楽苑(7554)、HAPiNS(7577)、ハニーズ(2792)
3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):
HAPiNS(7577)、テイツー(7610)、京都きもの友禅(7615)
既存店客数および客単価の推移:
2月単月の客数及び客単価は、それぞれ0.2%減、0.2%増でした。客単価は、2016年10月以降プラスの推移が続いており、2018年10月に25ヶ月振りにマイナスに転じたものの、再びプラスが続いています。2月度データ集計企業数は、199社(純小売り139社、外食60社)でした。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%)
出所:各社データよりHidden Gems