月次報告

小売業月次売上高レポートvol.12

3月の小売業合計既存店売上高は0.8%増

Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業203社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。

22サブセクターのうち、プラスは13サブセクター:

3月の小売業合計既存店売上高前年同月比0.8%増、うち、純小売りは0.9%増、外食は0.7%増となりました。
3月は、高気圧に覆われたことから全国的に暖かい日が続きましたが、東京都では、20度を超える日は前年に比べ5日少なくなる等、春物は幾分動きづらい気温となりました。曜日回りは、前年同月に比べ日曜日が1日多い曜日回りとなりました。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%) 出所:各社データよりHidden Gems 注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。

サブセクター別伸び率:

上位3サブセクターは、家電量販店(7.6%増)、リサイクルショップ(7.2%増)、メガネ専門店(5.2%増)。下位3サブセクターは、家具・ライフスタイル型専門店(5.0%減)、中食(1.8%減)、ホームセンター(1.1%減)でした。
家電量販店では、コジマ(7513)が12.2%と大きく伸長しました。総務省から携帯の末端料金と通信料金を分離する要請があり、今後末端代金の大幅な割引を受けられなくなることを懸念した一部の消費者の駆込み需要により携帯の売上が大きく伸長しました。
また、週毎に商品を変えて実施した店頭体験イベントが好評だったことに加えて、毎年春の買替えキャンペーンを実施しているエアコンは、高機能商品を中心とした販売促進策が奏功し、客単価を牽引しました。
リサイクルショップでは、コメ兵が2ヶ月連続2割超の増収を達成し、全銘柄中でもトップの成長率となりました。今年2月のガイアの夜明けへの出演以降、客数増が継続していることに加え、2018年10月の古物営業法改正で買取場所の規制が緩和されたことに伴い、デパートやマンションでの買取イベントの実施を継続的に開催したことで、新規顧客の獲得と在庫の調達が順調に拡大しました。

一方で、家具・ライフスタイル型専門店では、大塚家具(8186)が既存店売上高15.9%減と3ヶ月連続で2割超のマイナスが続きました。前年同時期のセールの反動減が大きく、新生活需要期ながらも、応接、ダイニング、寝具などの大型家具が振るいませんでした。また、良品計画(7453)では、売価の見直しの影響により客単価が7.9%減と大きく下落したことで、既存店売上高は0.5%増に留まりました。

「3-12」トップスリー:

Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。

3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):

HAPiNS(7577)、ハニーズ(2792)、幸楽苑(7554)

3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):

コメ兵(2780)、京都きもの友禅(7615)、HAPiNS(7577)

既存店客数および客単価の推移:

3月の客数及び客単価は、それぞれ0.1%減、0.9%増でした。客単価は、2016年10月以降プラスの推移が続き、客単価が既存店売上高の牽引役となる状態が続いていますが、昨年7月以降はプラス幅が一気に縮小に転ずると同時に、客数のマイナス幅も縮小し始めゼロ近辺まで近づきつつあるなど、消費者の価格志向のトレンドに変化が見られ始めています。3月度データ集計企業数は、203社(純小売り141社、外食62社)でした。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%) 出所:各社データよりHidden Gems
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