月次報告

小売業月次売上高レポートvol.13

4月の小売業合計既存店売上高は1.1%減

Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業201社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%) 出所:各社データよりHidden Gems 注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。

22サブセクターのうち、プラスは10サブセクター:

4月の小売業合計既存店売上高前年同月比1.1%減、うち、純小売りは1.5%減、外食は0.1%増となりました。
4月は、降雨量には前年同月に対し大きな差は見られなかったものの、上旬と下旬に寒気が流れ込み、気温が前年を大幅に下回る日が多く見られました。東京や大阪でも、初旬は最低気温が10度を下回るなど、4月に入ってもコートを仕舞えず、また、花冷えが続いたことから、例年に比べても桜の花が長く持ちました。月を通して気温が前年を下回る日が多く見られたことから、初夏ものの衣料や園芸用品などの季節商材を扱う専門店において、顕著な客数減が見られました。

サブセクター別伸び率:

上位3サブセクターは、リサイクルショップ(3.1%増)、家電量販店(2.4%増)、回転寿司(1.7%増)。下位3サブセクターは、家具・ライフスタイル型専門店(6.4%減)、アパレル専門店(4.8%減)、ホームセンター(4.2%減)でした。

リサイクルショップは3ヶ月連続、家電量販店は2ヶ月連続で上位3サブセクターのランクインとなりました。
3月の月次レポートはこちら(https://hiddengems.co.jp/report/14)。
回転寿司では、くら寿司を展開するくらコーポレーション(2695)が4.3%減と苦戦する一方で、スシローを展開するスシローグローバルホールディングス(3563)が8.4%増と客数・客単価を共に伸ばし大きく伸長した他、元気寿司(9828)(2.1%増)、にぎりの徳兵衛を展開するアトム(7412)(全業態では1.8%増だが、すし業態に限ると8.2%増)、かっぱ寿司を展開するカッパクリエイト(7421)(0.4%増)と、多くのチェーンで客数が牽引となりました。
また、ファストフードが1.0%増と4位にランクインしましたが、好不調が混在する中、日本ケンタッキー・フライド・チキン(9873)が15.1%増と3ヶ月連続の2ケタ伸長となり、全201社の中でも、機能性カジュアル衣料が好調なワークマン(7564)(17.5%増)に次ぐ伸び率を達成しました。単価が比較的高めでハレの日の需要の方が強かった従来に対し、日常使いを喚起しようと、500円ランチなど普段使いし易い打ち出しを行なったことが奏功し、客数増が牽引しています。

一方、下位のサブセクターについて、家具・ライフスタイル型専門店では、インテリア雑貨を展開するHAPiNS(7577)と大塚家具(8186)がそれぞれ15.5%減、13.3%減と、大幅に落ち込み全体を押し下げました。加えて、これまで同サブセクターの成長の牽引役だった良品計画(7453)の既存店売上高が0.5%減と26ヶ月振りにマイナスに転じたことも押し下げの一因となりました。同社では、昨年下期から「生活の基本」となるアイテムの価格見直しを実施していますが、ファニチャーなどの高単価アイテムには価格見直しに対する販売増の効果が見られず、客単価が5.4%減となるなど、生活雑貨を中心に客単価を下げる形で売上の弱含みが見られました。
アパレル専門店では、グローバルワーク、ローリーズファームなどのカジュアル衣料を展開するアダストリア(2685)で10%増となるなど、一部好調な企業も見られたものの、全般的には、気温が前年よりも低く推移したことにより、客数減を主因に苦戦する企業が多く見られました。特段、紳士服専門店においては、コナカ(7494)14.4%減、青山商事(8219)12.0%減、AOKIホールディングス(8214)11.8%減、はるやま商事(7416)11.2%減と、各社共に大幅なマイナスとなりました。気温が低く推移したことに加え、スーツの動きが鈍く、各社ともに客数を大きく落としました。

「3-12」トップスリー:

Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。

3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):

アダストリア(2685)、日本ケンタッキー・フライド・チキン(9873)、コメ兵(2780)

3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):

オートバックスセブン(9832)、ヒマラヤ(7514)、テイツー(7610)

既存店客数および客単価の推移:

4月の客数及び客単価は、それぞれ2.3%減、1.1%増でした。客数が2%超のマイナスとなるのは、全国的に記録的な猛暑となる中、西日本で多くの被害をもたらした平成30年7月豪雨が発生した2018年7月(3.1%減)以来でした。サブセクター別では、気温が低く季節物の園芸用品が低調だったホームセンターの客数が6.3%減と大きく落ち込んだほか、紳士服専門店の客数が軒並み2ケタ減となったアパレル専門店が5.8%減と苦戦しました。
客単価は、2016年10月以降プラスの推移が続き、客単価が既存店売上高の牽引役となる状態が続いていますが、昨年7月以降はプラス幅が一気に縮小に転ずると同時に、客数のマイナス幅も縮小し始めゼロ近辺まで近づきつつあるなど、消費者の価格志向のトレンドに変化が見られ始めています。
4月度データ集計企業数は、201社(純小売り141社、外食60社)でした。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%) 出所:各社データよりHidden Gems
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