月次報告

小売業月次売上高レポートvol.15

6月の小売業合計既存店売上高は0.8%増

Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業200社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%) 出所:各社データよりHidden Gems 注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。

22サブセクターのうち、プラスは13サブセクター:

6月の小売業合計既存店売上高は、前年同月比0.8%増、うち、純小売りは0.9%増、外食は0.6%増となりました。
各地の梅雨入りに関して、東日本各地では、昨年と同時期の発表があった一方で、西日本、九州地区では、1951年以降最も遅い梅雨入りとなる6月26日となりました。
6月度データ集計企業数は、200社(純小売り140社、外食60社)でした。

サブセクター別伸び率:

上位3サブセクターは、家電量販店(8.2%増)、リサイクルショップ(6.2%増)、その他(4.5%増)。下位3サブセクターは、通販(4.0%減)、居酒屋(2.6%減)、スポーツ専門店及び家具・ライフスタイル型専門店が、それぞれ2.0%減でした。

家電量販店では、コジマ(7513)が2020年1月にOSサポートが終了するWindows7の買い替え需要の高まりから、ノートPCやダブレットPCなどを中心にパソコン関連商材が好調に推移し10.1%増と2ヶ月連続の2ケタ増となりました。
ビックカメラ(3048)は消費増税前の駆け込み需要からエアコン、冷蔵庫、洗濯機、パソコン周辺機器などの高単価商品が好調に推移し、6.2%増となりました。

なお、6月はサブセクターを大きく牽引する伸びを記録した個別企業が複数見られました。

5位のファストフード(3.0%増)では、日本ケンタッキー・フライド・チキン(9873)が、49周年創業祭のキャンペーンに伴い、月毎に展開している「バリュー商品」と「新商品」を同時展開したことで、既存店売上高が24.1%増と大きく伸長し、全体を牽引しました。また、吉野家ホールディングス(9861)では、120周年を記念した牛丼の「超特盛」サイズが3月の発売開始以降支持されていること加え、6月は「テイクアウト80円引きキャンペーン」が奏功し7.1%増となりました。

また、アパレル専門店(1.6%増)では、ファーストリテイリング(9983)が昨年5月に実施した感謝祭を6月へ後ろ倒した影響により27.3%増と大きく全体を押し上げました。既存店増収率は、全企業の中でも、ワークマン(7564)(35.8%増)に次ぐ2番目に高い伸長率となりました。更に、シーズメン(3083)では14.0%増と、2ヶ月連続の2ケタ増を記録しました。
昨年の経営陣の刷新以降、数字に基づく商品発注や売場の標準化を徹底した結果、機会ロスが減少していることに加え、ユニセックスアイテムの拡充により、女性客の獲得に成功し客数を大きく伸ばし、既存店売上高は13ヶ月連続でプラスが続いています。

一方、居酒屋(2.6%減)では、ハブ(3030)が、昨年開催されたサッカーワールドカップの反動により客数が大きく減少し、17.1%減とサブセクター全体を大きく押し下げました。

「3-12」トップスリー:

Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。

3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):

京都きもの友禅(7615)、マックハウス(7603)、日本ケンタッキー・フライド・チキン(9873)

3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):

京都きもの友禅(7615)、ワークマン(7564)、ファーストリテイリング(9983)

既存店客数および客単価の推移:

6月の客数及び客単価は、それぞれ0.1%増、1.0%増となりました。昨年同月に西日本で発生した大阪府北部地震の反動増と、土日祝日が昨年に比べ1日多いことから、客数は前月に続きプラスとなりました。客単価は、2016年10月以降プラスの推移が続き、客単価が既存店売上高の牽引役となる状態が続いていますが、昨年7月以降はプラス幅が一気に縮小に転ずると同時に、客数のマイナス幅も縮小し始めゼロ近辺まで近づきつつあるなど、消費者の価格志向のトレンドに変化が見られつつあります。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%) 出所:各社データよりHidden Gem
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