小売業月次売上高レポートvol.33
12月の既存店売上高は8.1%減と外食が再び悪化
Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%)
出所:各社データよりHidden Gems
注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
22サブセクターのうち、プラスは11サブセクター:
12月の小売業合計既存店売上高は、前年同月比8.1%減、うち、純小売りは1.5%減、外食は21.7%減で、プラスのサブセクターは全22サブセクター中11サブセクターとなりました。
天候要因は、東京都では、降雨日数が前年同月比7日減、最高気温の平均値は12.3℃(前年同月比-0.3℃)、最低気温の平均値は3.5℃(同-1.5℃)となりました。日本海側を中心に一部地域では大雪になるなど、前年よりも寒さが厳しい月となり、加湿器や暖房機器などの季節用品やスコップなどの除雪商材が好調に推移しました。
曜日回りは、休日が前年同月比1日減(月末締め企業)。データ集計企業数は、202社(純小売り136社、外食66社)でした。
サブセクター別伸び率:
上位3サブセクターは、通販(12.8%増)、家具・ライフスタイル型専門店(10.3%増)、ホームセンター(9.8%増)。下位3サブセクターは、居酒屋(44.2%減)、ファミリーレストラン(19.1%減)、百貨店(16.2%減)でした。
上位3サブセクターの中では、ニトリホールディングス(9843)が全銘柄中第4位となりました。ホームオフィスなどの在宅勤務関連用品のほか、加湿器や暖房機器、Nウォームシリーズの寝装品などが好調に推移し19.4%増となりました。
一方、下位3サブセクターの中では、居酒屋が忘年会の自粛や営業時間短縮の延長などを受け、各社苦戦しました。総合居酒屋は客数の減少幅が一段と拡大し、既存店売上高はチムニー(3178)が68.0%減、ワタミ(7522)が59.1%減、大庄(9979)が58.7%減、と5割以上の大幅減となる企業が多く見られました。
また、全体では、自転車専門店の「あさひ」を展開するあさひ(3333)が46.1%増と大きく伸長し、全銘柄中第1位となりました。人との接触回避や運動不足など社会環境の変化を受け、通勤やスポーツ用の自転車を買い求める人が増加し、好調な推移が続いています。
「3-12」トップスリー:
Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが上昇・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。
3-12の絶値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):
はせがわ(8230)、うかい(7621)、ベリテ(9904)
3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):
コジマ(7513)、はせがわ(8230)、オートバックスセブン(9832)
既存店客数および客単価の推移:
12月の客数及び客単価は、それぞれ13.3%減、2.2%増となりました。12月は、感染拡大により自粛ムードが一段と強くなったことに加え、政府支援策の一時中止など外食への締め付けが強まり、客数が再び2ケタ減と大きく落ち込みました。客単価は、食料品のまとめ買いが続いているほか、帰省控えを受け、都心を中心にお寿司のテイクアウトやおせちが好調に推移するなど、プラスの推移が続いています。一方、居酒屋では忘年会など大人数での宴会の利用が減少したほか、アパレル専門店は昨年よりも大幅な値引きセールを各社実施するなど、客単価のプラス幅には減少が見られました。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%)
出所:各社データよりHidden Gem