月次報告

小売業月次売上高レポートvol.34

1月の既存店売上高は13.2%減と客数が大幅減

Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%) 出所:各社データよりHidden Gems 注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
注:新型コロナ感染症の影響で既存店売上高の振れ幅が大きい事から、より実態に近い数値に修正する為、2021年1月より会社開示数値を弊社新基準で表示しております。

22サブセクターのうち、プラスは9サブセクター:

1月の小売業合計既存店売上高は、前年同月比13.2%減、うち、純小売りは5.0%減、外食は31.1%減で、プラスのサブセクターは全22サブセクター中9サブセクターとなりました。
天候要因は、東京都では、降雨日数が前年同月比5日減、最高気温の平均10.3℃(前年同月比-0.8℃)、最低気温の平均1.3℃(同-2.4℃)となりました。1月は、暖冬だった昨年に対し、全国的に気温が低く推移し、日本海側では一部地域で記録的な大雪となるなど、除雪関連用品や暖房器具などが好調に推移しました。
曜日回りは、前年同月と同じ。データ集計企業数は、209社(純小売り143、外食66社)です。

サブセクター別伸び率:

上位3サブセクターは、通販(18.2%増)、ホームセンター(11.8%増)、スーパー(6.9%増)。下位3サブセクターは、居酒屋(57.1%減)、ファミリーレストラン(32.4%減)、百貨店(30.7%減)でした。

上位3サブセクターの中では、ホームセンターが各社好調。DIYや園芸などのイエナカ需要の好伸長が続いていることに加え、気温の低下や記録的な大雪などを受け、暖房器具やスコップなどの除雪関連用品が好調に推移し、DCMジャパンホールディングス(3050)が16.7%増、コーナン商事(7516)が16.0%増、アークランドサカモト(9842)が15.7%増などとなりました。
また、通販では、工業用間接資材の通販サイト「モノタロウ」を運営するMonotaRO(3064)が全銘柄中第1位となりました。昨年4月の緊急事態宣言以降、低調に推移していた主力の法人向けにおいて、製造業などを中心に31.8%増と大きく伸長するなど、133ヶ月連続2ケタ増となりました。

下位サブセクターでは、居酒屋とアパレル専門店が客数客単価ともにマイナスの推移となりました。
居酒屋は、時短要請の対象地域の拡大などの感染防止対策が一段と強まり、鳥貴族(3193)77.3%減、マルシェ(7524)71.6%減、テンアライド(8207)71.1%減と各社大幅減となりました。
アパレル専門店では、大型商業施設において、福袋などの販売自粛を行うところがあったほか、冬物在庫処分など大型のセールを実施したことで、客数及び客単価が低下し、各社マイナス幅が拡大しました。特に、紳士服専門店やファッション衣料への需要は依然弱く、コナカ(7494)が38.8%減、ワールドが(3612)37.3%減など大きく落ち込みました。また、一部地域では成人式の中止や自粛をするところがあり、京都きもの友禅(7615)が37.2%減となりました。

その他、特に注目されるのが、カー用品専門店「タイヤ&ホイール館 フジ」を展開するフジコーポレーション(7605)が、通勤用の自家用車需要増により、好調な推移が続いています。1月においては、大雪の影響でスタッドレスタイヤやチェーンなどが売上を押し上げ18.0%増と好調に推移しました。

「3-12」トップスリー:

Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが上昇・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。

3-12の絶値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):

良品計画(7453)、ベリテ(9904)、HAPiNS(7577)

3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):

良品計画(7453)、あさひ(3333)、ジョイフル本田(3191)

既存店客数および客単価の推移:

1月の客数及び客単価は、それぞれ20.1%減、3.0%増となりました。
緊急事態宣言の再発出に伴い、客数は昨年5月以来となる2割以上のマイナスとなりました。また、客単価は、巣ごもり需要の再燃により、スーパーやコンビニエンスストアで冷凍食品や生鮮食品などの買いだめが増え、プラスの推移が継続しています。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%) 出所:各社データよりHidden Gem
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