小売業月次売上高レポートvol.2
5月の小売業合計既存店売上高は2.0%減
Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業246社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。
CPI(消費者物価指数)よりも早い、リアルタイムでの小売業界における客数・客単価のトレンドや、サブセクター(業種)別の売上トレンドなどをご紹介します。
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22サブセクターのうち、プラスは5サブセクター:
5月の小売業合計既存店売上高前年同月比(単純平均)は2.0%減と、4ヶ月振りにマイナスとなりました。うち、純小売りは2.0%減、外食は2.2%減でした。
5月はゴールデンウィーク中も降雨が多く、また、5月を通じても気温が平年を下回る日が多かったことから、多くのサブセクターで客数減によるマイナス影響がありました。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%)
出所:各社データよりHidden Gems
注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
サブセクター別伸び率:
上位3サブセクターは、通販 (7.3 %増)、メガネ専門店 (6.6%増)、リサイクルショップ (2.5%増)。下位3サブセクターは、身回り品専門店(6.4%減)、ホームセンター(6.2%減)、本・CD・DVD販売/レンタル専門店(6.1%減)でした。
通販セクターの伸びは、TVショッピングの売上が急伸したことでB-to-C向けの販売が大きく伸びたアイケイ(2722)の売上高が30.2%増と、4月に続き大幅伸長したことに加え、M&Aによる新規子会社の売上増を主因に、スクロール(8005)が16.0%増となったことが主な要因でした。
メガネ専門店は、メガネスーパーを中核に持つビジョナリーホールディングス(9263)の既存店売上高が28.7%増と、4月度(24.1%増)に続き大幅に伸長したことが牽引役となりました。高度な検眼技術を武器に、スマホやPCなどのディスプレイの長時間使用に起因した眼精疲労などの悩みを持つ中年層への価値訴求が成功し、客単価の上昇が牽引役となり既存店売上高の伸長が続いています。
リサイクルショップは、リユース市場の拡大に伴い、ブランドファッション事業の好調が続くコメ兵(2780)を中心に、サブセクターとしても堅調な推移が続いています。
一方、身回り品専門店では、客数減を主因とした売上減少が続くチヨダ(8185)が客数減を主因に2ヶ月連続で2ケタ減となったことがマイナスに寄与したほか、ホームセンターでは、天候与件から、園芸・農業用品などの季節品が不振でした。
「3-12」トップスリー:
Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。
3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):
ジーンズメイト(7448)、アスクル(2678)、ビジョナリーホールディングス (9263)
3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):
アイケイ(2722)、ビジョナリーホールディングス(9263)、ゴルフ・ドゥ(3032)
既存店客数および客単価の推移:
5月単月の客数及び客単価は、それぞれ3.5%減、1.1%増でした。客単価は2016年10月以降、20ヶ月連続のプラスが続いていることに加え、更に長期のトレンドでは、2010年12月に客単価がプラスに転じて以降、単月でマイナスに転じたのは僅かに5ヶ月しかなく、客単価の伸びが既存店売上高の牽引役となる傾向が続いています。
5月度データ集計企業数は、246社(純小売り184社、外食62社)。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%)
出所:各社データよりHidden Gems