月次報告

小売業月次売上高レポートvol.48

3月:まん防解除で消費は再び活発に

Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらにてご報告いたします。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。
なお、2020年の既存店売上高は新型コロナ感染症の影響による異常値で、2021年の同会社発表伸長率から実態を把握することが難しいため、実態に則した修正を行っております。新基準の詳細につきましては、本レポートの末尾をご覧ください。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%) 出所:各社データよりHidden Gems
注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
注:新型コロナ感染症の影響で既存店売上高の振れ幅が大きい事から、より実態に近い数値に修正する為、2021年1月より会社開示数値を弊社新基準で表示しております。

22サブセクターのうち、プラスは15サブセクター:

3月の小売業合計既存店売上高は、前年同月比2.6%増、うち純小売りは1.7%増、外食は4.4%増。プラスのサブセクターは、全22サブセクター中15サブセクター、同2019年対比では8サブセクターとなりました。

新規感染者数自体は高止まりが続いていたものの、重症化率が落ち着いていたことや、18都道府県に発出されていたまん延防止等重点措置(以下、まん防)が21日に全て解除されたこと、卒業式や送別会なども昨年よりは開催されるケースが増えて来たことなどから、人流も徐々に回復し、前月マイナスに転じた純小売りの売上は再びプラスに戻り、外食も12月、1月の水準には及ばないまでも伸長が見られるなど、多くのサブセクターで売上の増加が見られました。また、原油価格や原材料費の高騰の影響による4月の値上げを前に、値上の対象となるタイヤなど一部のアイテムで突出した売上の伸長が見られました。

2019年(コロナ前)との比較では、引き続き、通販、リサイクルショップ、スーパーなどの実需関連のサブセクターが好調に推移しました。1月以降マイナス幅の拡大が目立った百貨店、アパレル専門店、身回り品専門店などの非必需品を取り扱うサブセクターでは、依然厳しい推移が続いてはいますが、春物やオケージョナル衣料といった衣料品などの好調によりマイナス幅に改善が見られました。

天候要因は、東京都では、降雨日数が前年同月比3日増(19日)、最高気温平均値16.6℃(前年同月比-1.3℃)、最低気温平均値6.1℃(同-2.2℃)となりました。中旬や下旬には20℃を超える暖かい日もありましたが、繰り返す低気圧の通過により全国的に降雨や積雪に見舞われ、平均気温は前年よりも低くなりました。

曜日回りによる土日祝日の増減は祝日1日増。データ集計企業数は、198社(純小売り135社、外食63社)でした。

サブセクター別伸び率:

3月は、前年は緊急事態宣言が発令され、今年はまん延防止等重点措置の実施があり、単純比較は難しいものの、双方に制限があったことをご留意ください。

前年同月比での上位3サブセクターは、通販(12.8%増)、リサイクルショップ(11.5%増)、居酒屋(6.6%増)。下位サブセクターは、本・CD・DVD販売/レンタル専門店(8.3%減)、家具・ライフスタイル型専門店(6.8%減)、家電量販店(4.3%減)となりました。

上位のサブセクターでは、通販が前年同月、2019年対比共にサブセクター第1位となりました。ジェネレーションパス(3195)が49.8%増、MonotaRO(3064)が27.3%増と、前年が高ハードルでありながらも2ケタ増となり、サブセクター全体を牽引しています。また、2019年度比では両社とも8割以上増となるなど大幅な成長が続いています。
リサイクルショップでは、13ヶ月連続プラスの推移となり、全サブセクターの中でも最も増収が継続しています。また、2019年対比では3ヶ月連続2ケタ増となり、通販に次ぐ高成長が続いています。

下位サブセクターでは、イエナカ需要の恩恵の反動から、家具・ライフスタイル型専門店や家電量販店、ホームセンターなどのサブセクターが低調に推移しました。
家具・ライフスタイル型専門では、良品計画(7453)が生活雑貨10%オフなどの値引き施策を実施したものの、売上が振るわず9.7%減となりました。ニトリHD(9843)は、TVCMの放映により新生活家電などの売上は好調でしたが、全体の売上を牽引するまでには至らず3.8%減となりました。
家電量販店では、コジマ(7513)が5.1%減、ビックカメラ(3048)が3.5%減、となりました。前年は巣ごもりや、働き方改革における必需品などの需要が強く、テレビやパソコンおよび周辺機器などの売上が大きく伸長したため、その反動を受け厳しい推移となりました。

「3-12」絶対値・前月比改善トップ3:

「3-12」絶対値・前月比改善トップ3:
Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが上昇・悪化している企業をピックアップし、紹介していきます。

■ 「3-12」の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):
一家 HD(7127)、鳥貴族 HD(3193)、串カツ田中 HD(3547)

■ 「3-12」の前月比改善トップ3(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):
ジェネレーションパス(3195)、コメ兵HD(2780)、あさひ(3333)

既存店客数および客単価の推移:

3月の客数及び客単価は、それぞれ0.1%増、3.3%増となりました。
客数はまん防の解除や気温の上昇も後押しし再びプラスに転じました。
客単価は昨年の10月以降6ヶ月連続でプラス幅が拡大しながら伸長が続いています。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%) 出所:各社データよりHidden Gem

2021年1月から採用する新基準概要:

図表3:既存店開示数値の弊社新基準について 出所:Hidden Gem作成

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