小売業月次売上高レポートvol.4

7月の小売業合計既存店売上高は1.5％減

Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業248社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。
CPI（消費者物価指数）よりも早い、リアルタイムでの小売業界における客数・客単価のトレンドや、サブセクター（業種）別の売上トレンドなどをご紹介します。

より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。

22サブセクターのうち、プラスは6サブセクター：

7月の小売業合計既存店売上高前年同月比（単純平均）は1.5％減。うち、純小売りは1.1％減、外食は2.6%減と、共にマイナスとなりました。

7月は、初旬にかけて西日本で発生し、多くの被害をもたらした平成30年7月豪雨や全国的に記録的な猛暑の影響から、7月全体を通して客足が遠のき、客数を大きく落としました。また、前年同月に対し土曜日が１日少ないことも売上減の一因となりました。

サブセクター別伸び率：

上位3サブセクターは、通販 （14.0%増）、メガネ専門店 （6.4%増）、家電量販店 （2.3%増）。下位3サブセクターは、本・CD・DVD販売／レンタル専門店（7.4%減）、アパレル専門店（6.0%減）、居酒屋（5.6%減）でした。

通販セクターは、既存店売上高の開示がないことから、22サブセクター中、唯一全店売上高を採用しています。スクロール（8005）がドロップシッピングサービス大手（株）もしもを買収した影響により、30.5％増と大きく伸長したほか、ベルーナ（9997）もきものチェーンのさが美買収による増加により、22.4％増と大幅な伸びとなりました。

好調が続くメガネ専門店は、メガネスーパーを中核に持つビジョナリーホールディングス（9263）の既存店売上高が18.6％増と5ヶ月連続2ケタ増を継続していることに加え、既存店売上高を開示している全てのメガネ専門店（ジンズ（3046）、三城HD（7455）、愛眼（9854））でプラスとなりました。

一方、猛暑や豪雨の影響により、不要不急の消費が控えられる傾向が見られました。アパレル専門店の数字が伸び悩んだほか、スーパーや中食などでは売上は比較的堅調だったのに対し、居酒屋が外食の中で特に弱含むなど、外出を控える傾向があったことが数値面から垣間見えました。

「3-12」トップスリー：

Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値（直近3ヶ月の平均値）と12ヶ月移動平均値（直近12ヶ月の平均値）の差異を「3-12（さんひくじゅうに）」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。

3-12の絶対値トップ３（直近３ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る）：

スクロール（8005）、京都きもの友禅（7615）、ハブ（3030）

3-12の前月比改善（「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る）：

ベルーナ（9997）、ベリテ（9904）、日本ケンタッキー・フライドチキン（9873）

既存店客数および客単価の推移：

7月単月の客数及び客単価は、それぞれ3.2%減、1.4％増でした。客単価は2016年10月以降、22ヶ月連続のプラスが続いていることに加え、更に長期のトレンドでは、2010年12月に客単価がプラスに転じて以降、単月でマイナスに転じたのは僅かに5ヶ月しかなく、客単価の伸びが既存店売上高の牽引役となる傾向が続いています。

7月度データ集計企業数は、248社（純小売り184社、外食64社）。