小売業月次売上高レポートvol.5
8月の小売業合計既存店売上高は0.5%増
Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業209社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。
CPI(消費者物価指数)よりも早い、リアルタイムでの小売業界における客数・客単価のトレンドや、サブセクター(業種)別の売上トレンドなどをご紹介します。
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22サブセクターのうち、プラスは14サブセクター:
8月の小売業合計既存店売上高前年同月比(単純平均)は0.5%増。うち、純小売りは0.3%増、外食は1.1%増と、共にプラスとなりました。
8月における台風の発生は9個となり、前年同月(5個)を大きく上回りましたが、多くの被害をもたらした記録的な豪雨などで心理的に客足が遠のいた7月に対し客数減が縮小したことで、既存店売上高は回復基調となりました。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%)
出所:各社データよりHidden Gems
注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
サブセクター別伸び率:
上位3サブセクターは、メガネ専門店 (7.4%増)、通販 (6.5%増)、百貨店 (3.2%増)。下位3サブセクターは、家具・ライフスタイル(5.2%減)、スポーツ専門店(4.5%減)、本・CD・DVD販売/レンタル専門店(3.0%減)でした。7月に伸び悩んだ、外食のサブセクターは全てプラス伸長となりました。
好調が続くメガネ専門店は、メガネの三城を展開する三城ホールディングス(7455)が6.7%増と大きく伸長しました。パーツから製造まで全て日本製の「Made in Japan」シリーズやPBの補聴器が売上を牽引しました。
また、メガネスーパーを中核に展開する、ビジョナリーホールディングス(9263)は、16.2%増と6ヶ月連続で2ケタ増収が続いています。
外食では、中食セクターのプレナス(9945)が展開するやよい軒が、CM放映と夏休みに向けたキャンペーンの効果により客数が伸長し、2.4%増とプラスに転じました。
百貨店は、近畿四国地方の店舗を中心に、台風の影響で客数が落ち込んだ一方、インバウンドによる免税品を含めた高価格商品や、季節商材を中心に都心店舗が売上を牽引しました。
一方、スポーツ専門店は、業界の価格競争の激化から、価格比較のし易いECからの購入が急増し、実店舗での購買客数が減少傾向にあります。全国にスポーツ用品店を展開するヒマラヤ(7514)では、3.9%減となるなど、天候要因による季節商材の不振に加え、このような消費行動の変化からマイナス幅が大きくなる傾向が見られました。
「3-12」トップスリー:
Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。
3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):
スクロール(8005)、ハブ(3030)、京都きもの友禅(7615)
3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):
ベルーナ(9997)、アダストリア(2685)、シーズメン(3083)
既存店客数および客単価の推移:
8月単月の客数及び客単価は、それぞれ0.9%減、1.6%増でした。客単価は2016年10月以降、23ヶ月連続のプラスが続いていることに加え、更に長期のトレンドでは、2010年12月に客単価がプラスに転じて以降、単月でマイナスに転じたのは僅かに5ヶ月しかなく、客単価の伸びが既存店売上高の牽引役となる傾向が続いています。
8月度データ集計企業数は、209社(純小売り147社、外食62社)。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%)
出所:各社データよりHidden Gems