小売業月次売上高レポートvol.6
9月の小売業合計既存店売上高は0.6%増
Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業199社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。
CPI(消費者物価指数)よりも早い、リアルタイムでの小売業界における客数・客単価のトレンドや、サブセクター(業種)別の売上トレンドなどをご紹介します。
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22サブセクターのうち、プラスは16サブセクター:
9月の小売業合計既存店売上高前年同月比(単純平均)は0.6%増。うち、純小売りは0.9%増、外食は0.2%減となりました。
9月は、前年に比べて台風が4回も多かった8月に比べ、前年並み(4回)と回数こそ少なかったものの、上旬の台風21号や下旬の台風24号など強い勢力で日本に上陸した台風が多く、西日本を中心に前年に比べ降水量が大幅に増加しました。また、9月6日には、北海道胆振東部地震が発生し、地震の影響で一時北海道全域で停電となるなど、一時的に営業停止を余儀なくされたことから、同域内に展開する店舗売上に影響を与えました。一方で、曜日回りでは、前年同月と比べ土日祝日が2日多く、売上を下支えました。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%)
出所:各社データよりHidden Gems
注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
サブセクター別伸び率:
上位3サブセクターは、家電量販店(11.0%増)、メガネ専門店(4.8%増)、スーパー(2.9%増)。下位3サブセクターは、通販(6.7%減)、家具・ライフスタイル型専門店(4.1%減)、居酒屋(3.7%減)でした。外食部門では居酒屋が唯一マイナスとなりました。
9月に大きく伸長した家電量販店は、コジマ11.0%増、エディオンが10.5%増と各社大きく伸長しました。
9月の家電量販店は酷暑だった7月、8月の影響を受けて、故障に伴う買い替えにより、エアコンの販売が各社大幅に伸長しました。また、度重なる震災を受け、ラジオや乾電池などの防災関連商材の需要も高まりました。
スーパーは、天候不順や災害の影響で野菜の相場が上昇したことから客単価が大きく伸長したほか、曜日回りも売上にプラスに影響しました。
一方、外食の中で唯一マイナスとなった居酒屋は、前年同月に比べ、売上が取りづらい祝日と日曜が1日ずつ多かったことに加え、大型台風に備え鉄道各社が計画運休を行ったことに伴う影響や、それに伴う営業時間の短縮により客数減となりました。
「3-12」トップスリー:
Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。
3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):
ワークマン(7564)、ビジョナリーホールディングス(9263)、コーナン商事(7516)
3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):
ワークマン(7564)、コーナン商事(7516)、ダイイチ(7643)
既存店客数および客単価の推移:
9月単月の客数及び客単価は、それぞれ1.3%減、2.7%増でした。客単価は2016年10月以降、24ヶ月連続のプラスが続いていることに加え、更に長期のトレンドでは、2010年12月に客単価がプラスに転じて以降、単月でマイナスに転じたのは僅かに5ヶ月しかなく、客単価の伸びが既存店売上高の牽引役となる傾向が続いています。
9月度データ集計企業数は、199社(純小売り139社、外食60社)。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%)
出所:各社データよりHidden Gems