小売業月次売上高レポートvol.7
10月の小売業合計既存店売上高は前年同期比横ばい
Hidden Gemsでは、上場企業を中心に月次売上高の開示がある小売業199社の既存店売上高、客数、客単価を毎月集計し、「小売業月次売上高レポート」と題して、毎月こちらのニュースにてご報告いたします。CPI(消費者物価指数)よりも早い、リアルタイムでの小売業界における客数・客単価のトレンドや、サブセクター(業種)別の売上トレンドなどをご紹介します。より詳細なデータや概要にご興味のある方は「お問い合わせ」までご連絡ください。
22サブセクターのうち、プラスは11サブセクター:
10月の小売業合計既存店売上高前年同月比(単純平均)は横ばい。うち、純小売りは0.2%減、外食は0.4%増となりました。10月は、相次ぐ台風の通過により暖かい空気が流れ込んだ影響で、北・東日本が前年に比べかなり温暖な気候となりました。また、前年同月は台風や秋雨前線の影響によって西日本を中心に全国的に雨に見舞われましたが、今年は北日本を除き平年並みの降雨量となりました。曜日回りでは、前年同月と比べ日曜日が1日少なくなりました。
図表1:サブセクター別既存店売上高前年同月比伸び率(単純平均)(直近月降順、%)
出所:各社データよりHidden Gems 注:通販セクターは既存店売上高開示企業がないため、全店ベースでの数値を採用。上記単純平均値には、通販以外の一部企業で既存店売上高の開示がない企業の値を含みません。
サブセクター別伸び率:
上位3サブセクターは、メガネ専門店(8.2%増)、通販(6.0%増)、ホームセンター(3.5%増)。下位3サブセクターは、本・CD・DVD販売/レンタル専門店(6.8%減)、スポーツ専門店(4.9%減)、アパレル専門店(4.1%減)でした。
アパレル専門店は、10月は前年に比べ温暖な気候であったことからコートなどの重衣料品が不調、さらに紳士服、子供服も伸び悩みました。同様に、百貨店(2.7%増)でも衣料品は秋物婦人服以外が伸び悩みましたが、ラグジュアリー商材と化粧品が引き続き好調だったことに加え、ハロウィン需要やクリスマスケーキ、おせちの予約販売に伴い菓子や食品の売上が各社好調となり全体の売上を牽引しました。前月比では通販(8.8ポイント増)、居酒屋(5.0ポイント増)、家具・ライフスタイル型専門店(4.1ポイント増)等が大きく回復しました。居酒屋では、エー・ピーカンパニー(3175)が54ヶ月振りに既存店売上高がプラスに転換しました。グランドメニューの刷新とSNSや動画を利用したマーケティングを初めて実施したこと等により客数が回復しました。また、大庄(9979)では、ママ友や団塊世代の昼飲みの需要が増加し、ランチを含む昼の時間帯の売上高は9%増と、全体を牽引しました。家具・ライフスタイル型専門店は、大塚家具(8186)が9月下旬から「在庫一斉セール」を実施し、応接や寝具が売上を押し上げ、既存店売上高は14.3%増と、16ヶ月振りのプラスとなりました。また、ニトリホールディングス(9843)では、3万円以上の家具購入で配送料が無料になる「ニトリFan!ウィーク」の実施により、客数が大きく伸長し、売上は好調に推移しました。
「3-12」トップスリー:
Hidden Gemsでは、既存店売上高の3ヶ月移動平均値(直近3ヶ月の平均値)と12ヶ月移動平均値(直近12ヶ月の平均値)の差異を「3-12(さんひくじゅうに)」と命名し、長期月次トレンドに対し、短期月次トレンドが浮上・悪化している企業をピックアップし、ご紹介していきます。
3-12の絶対値トップ3(直近3ヶ月の平均値が直近12ヶ月を大きく上回る):
日本ケンタッキー・フライド・チキン(9873)、ライトオン(7445)、ハニーズ(2792)
3-12の前月比改善(「3-12」の絶対値が前月に比べて大きく上回る):
大塚家具(8186)、テイツー(7610)、エー・ピーカンパニー(3175)
既存店客数および客単価の推移:
10月単月の客数及び客単価は、共に0.1%減でした。客単価は2016年10月以降、9月までプラスが継続していましたが、25ヶ月振りにマイナスに転じました。10月度データ集計企業数は、199社(純小売り140社、外食59社)。
図表2:既存店売上高・客数・客単価前年比3ヶ月移動平均値の推移(%)
出所:各社データよりHidden Gems